こんにちは。アドサイクル 運営事務局です。
いきなりですが、ユーザーが広告に接する機会は1日に3000件にも及ぶそうです。
その中で好奇心を高め、行動を喚起するというのは、簡単なことではなさそうですね。
(1) 広告クリエイティブに置ける”言葉(フレーズ)”の役割
一般的には、広告というとテレビCMを思い浮かべる人が多いかもしれません。
その場合、絵と動きと音を利用し、最大限の好奇心を掻き立てるものを広告の要素として思い浮かべると思います。
印象や気づきを与えるという意味で、それらの効果は絶大ですし、当然工夫して利用すべきものです。インターネット広告でも、バナー広告、動画広告は近年より注目を集めています。
では、ここで“言葉”の重要性はどれくらいあるでしょうか?
もちろん、対象の商品やサービスによりますが、非常に重要な要素を占めていると考えます。
消費者は行動する理由を欲しています。「なぜ、それを買うべきなのか。」「なぜ、私が。」これに、広告は答えなければなりません。
これを最も効果的に伝えるのが、”言葉(フレーズ)”です。
ですから、“言葉(フレーズ)”は広告において非常に重要な役割を担っていると考えています。
(2) “読みやすさ”は、広告の反応率に影響するか?
さて、ここで、1つの検証課題を考えました。
検証課題:「読みやすさ」は、どこまで広告の反応に影響するのでしょうか?
そもそも、日本語の読みやすさを判定する、ことが可能かということからお話ししましょう。英語においては、この研究がかなり進んでいるようです。
「ウェブセールスコピーの法則」のなかで、著者マリア・ヴェローソはこのリーダビリティについて触れています。この書籍はタイトルの文字通り、ウェブに置けるセールスコピーをかなり詳細に解説した書籍になっています。
その中で、やはり読みやすさは重要な一つの指標と考えられているということです。
英文では、一文あたり語数、センテンス数、含まれる単語の音節数などを使用して読みやすさを判定しているようです。
参考:http://someya-net.com/wlc/readability.html
では日本語で考えてみましょう。言語が全く違うので、そのまま適用というわけには行きません。中でも英語と日本語で決定的に違うことがあります。
・スペースがない(つまり単語の開始と終わりを文字の繋がりによって識別してもらう必要がある)
・漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベットと文字種が多い
これらのことを受けて、東京大学の建石氏が発表されている論文があります。
かなり省略していうと、
「同じ種類の文字連の長さと、そのバランスによって、読みやすさを判定できる」という理論です。詳しくは上記リンクから論文をダウンロードしてお読みください。
この他にも、この論文を受けてさらに良く分析できる研究などが発表されていますが、
この論文の素晴らしいところは、発表当時(1988年)のコンピュータの処理能力などが考慮されているようで、複雑な指標を使わず、読みやすさを計算する工夫がなされているところです。
私も、この課題を研究するにあたり、語彙の難しさなどや文章構成などを利用しないということが、想像と異なっており、少し驚きました。
具体的に見てみましょう。次のAとBではどちらが読みやすいでしょうか?
A [初回登録無料] 試供品無料、詳細はこちら。
B [はじめての方無料] 無料でお試し、詳しくはこちら。
いかがでしょうか?
上記論文の公式を適用して計算すると、↓↓
Aは、Score=39、
Bは、Score=95
です。(高い方が読みやすい)
どうでしょう、そこそこ確からしい数字と考えられないでしょうか?
(3) 検証してみました
GoogleやYahoo!Japanなどの検索広告は、文字情報だけのテキスト広告です。
このスコアを使って、約1万件の広告の読みやすさスコアを測定し、相関分析をしてみました。(クリックが10以上あるもののみが対象としています。)
業種、企業など多様な中からデータを取得しており、主に検索で使われている広告になります。
各広告のリーダビリティ・スコアと所属する広告グループの平均CTRに対して上昇スコアを与えているかどうか、を分析したのです。
結果は、-0.081で「相関なし」でした。残念!
ちなみに、これは影響しないことがわかったわけではありません。
今回は、ただ影響することが見つけられなかっただけです。
しかし、Web上で広告(に限らず)を提供していくにあたり、読みやすさを意識することは重要であることに変わりはないかと思います。
例えば、読みにくくてもクリックしてくれたとして、ユーザーの印象はどうでしょうか?CVRに影響しないと言えるでしょうか?
Web上でお客様に情報を提供していく上で、こういった配慮はとても重要なのではないでしょうか。
これらの指標を計算するツールを作成しましたので、ぜひ皆さんも試してみてください。
日本語読みやすさ検定ツール
※2018年9月以降、アクセスがなければ削除する可能性がありますのでご留意くださいませ。
アドサイクルでもこれらの指標を使って、より良い広告の作成に使えないか、研究を進めてまいります。もし、分析したいデータがある、一緒に検証したいとお考えの企業様がいらっしゃいましたら、ぜひ、こちらまでご連絡くださいませ。
※ちなみに、本日のブログの読みやすさは、67.2でした。