いえ、別に喧嘩しているわけではありません。
私は、10年以上Web広告の界隈でお世話になっています。
後半は特にアドテク(Ad Technology)漬けです。
とても好きな世界ですが、
こんなことをよく耳にする方も多いかもしれません。
「広告は嫌われている」論。
「広告があったら無視します。」
「広告があったらスキップして見向きもしません。」
そんな悲しいことを言われる現実があるのです。
もちろん、その理由がわからないわけではありません。
よくわからない広告に追いかけ回されたりすると、そんな気持ちにもなりますよね。わかるんです。
ただ、広告業界の人の多くはその仕組みがよくわかっているので、過度に恐れないし、過度に軽視しない、という耐性はあるのかもしれません。でも、本当に良い役割を担っていることも多いのです。
アドテク界隈の自分たちが必死でやってきたことは、企業とユーザーを如何にスムーズに結びつけるか、です。
ユーザーはより良い商品・サービスと出会うことで、より幸せになる。
企業は、より幸せになりやすいユーザーと出会うことで、成長できる。
本気でそんなことを信じてやっているのです。
もちろん、成果を追い続けた時に、悪い面が出てしまうことも事実です。
なぜ、あんな広告に追いかけ回されるのでしょう?
でも、それは、実は簡単です。
そのほうが成果がいいからなんです、フリークエンシーといって、一定回数を一人のユーザーに見せ続けた時にようやく動いてもらえることがあるからです。もちろん、限度はありますが。
みなさんは、ユーザーの目線で見ると毎日目にしている広告が、ある日突然、自分に語りかけてきてるような感覚になることないでしょうか?
例えば、いつも乗る電車でいつもあるビールの広告。みているのに、何も考えず、何も話題にせず、過ごして数日過ぎた頃、仕事のプロジェクトが終わりに近づいて、「打ち上げ」という言葉が出そうな時にその全く同じ広告に接すると、、、。(省略)
というやつです。
これ、見る側は気づいてないけど、実際に起きている。だから、フリークエンシーを高めるんですね。
その際に、分析、配信で超活用するのがCookieなんです。(もちろんそれだけではないですが)
Cookieがあるから、分析でき、学習でき、よりよくできる、と言っても過言ではないというか、それを追い求めてしまっているだけなのです。
■2018年5月25日は、アドテクとユーザーの和解の日!?
ここまで、ご説明してきたようにCookieは広告業界にとっては、ガソリンのようなものである一方で、ユーザーにとっては煙たいもの、なんか追われているようで、監視されているようで、というものだったのです。
そこで、出てきたのがGDPRです。
これは、「EU一般データ保護規則」といって、ざっくりいうと、EU圏内でCookieデータとかを勝手に取ったりしたら、多額の罰金が課されるかもしれないという制度です。
これが、なんと 2018年5月25日から施行(適用)されるのです。
私は、10年ほどWeb広告系に関わってきまして、まだ向こう岸ではありますが、とんでもなく大きな影響を予感させるニュースです。
まだEU圏でのサービスがなければ、日本企業には直接は関係ないのかもしれません。私も初めて聞いた時は、正直、少し過度(やりすぎ)な制度だと思ってしまっていました。(今となっては恥ずかしながら、です。)
でも、よく考えるとユーザーにとっては、当たり前に必要なことではないかと(今までがおかしかっただけではないかと)気づいたのです。
そのきっかけの1つがこちらの記事でした。詳しくみたい方は読んでみてください。
つまり、対岸と思って軽く考えるなよ、ということで、その通りだと思いました。
GDPRに適用させるということは、「どんなCookieデータをどういう目的で使っていて、安全な場所に保存しています。要望があればいつでも開示するし、いつでも削除します。」ということです。
本当に純粋にユーザーのためを想ってCookieを使っている企業もものすごく多くあるのです。
「だったら開示しろよ」(ユーザー)、「わかりました!!」(企業、アドテク)。というのは当然のことではないかと想ったわけです。
ちなみに、上記記事の中で以下のサイトを見つけました。普通「お問い合わせ」とかのメニューが、なんと「SAY HELLO」。 しかも、「私たちはあなたからの連絡が欲しいです」と。
https://www.civicuk.com/contact
このスタンスって、すごく重要だと思うのです。
ユーザーのことを考え、ユーザーの目線・気持ちで対話しようとすること。
だから、このEUのGDPRは例えるなら、
『喧嘩してるわけでもないしお互い、いろんな側面で仲の良いところもあるんだけど、なんかちょっとこじれている時がある2人の生徒(アドテクとユーザー)』をみかねて、『先生(行政)』が「もう、じゃあこうしましょう」という構図に見えたのです。「仲良くしようよ、もうお互い大人なんだから」という。
ということで、和解の日なのかな、と。
■そこで、ツールを作ってみた、というか作ってしまった・・・
こんなことを
ふと考えて、
少し反省して、
Consent Managerと言われる許可を取るオーバーレイ表示のものが有償なんだと知って(驚いて)、
気がついたら、作ってしまいました。
でも、ただ表示するだけだと、面白くないので・・・Google TagManagerと連携してみました。
せっかくなので、Google Tag Managerと連携して、許可した人にだけGoogle Analyticsタグを配信したり、リタゲタグを読み込ませたりをとても簡単にできるようにしてみたのです。
*少し外れますが、少し応用すると、サイト内のアンケート結果に応じてタグの出しわけにも使えます・・・。この発想がこじらせる原因なわけでもありますが。
もちろん、他のタグマネツールでも使えると思います。GTMは、たまたまです。
連携といっても、DataLayerにプッシュするところだけなので2、3行しか依存してません。
もちろん、タグマネジメントツールなしでも使えます。
■ツールは、MITライセンスで無償開放です!多くの人に使われると嬉しいです。
ただ、勢いで作ったはいいけど、誰が使うか考えてなかったのです。そもそもEU関係ないしと思っている企業が大半かもしれません。
そこで、その不安をとりあえずGitHubにあげ、Qiitaに上げて気持ちを鎮めることにしました。
▼ツールはこちらから
https://github.com/esikm/PolicyBannerWithGTM
あまり汚いソースコード見せるのは好きではないですが(あと下手な英語も)、今回は良いかな、と。
MITライセンスなので無償・商用利用可能、改変可能です、どんどん使ってください。必要そうな人がいたらお伝えしてみてください。
*参考:MITライセンスとは?
よりユーザーから理解を得るための企業の取り組みのひとつとして、こういう和解の対話が、日本でも広まると良いと思います。
また、日本企業がこの個人情報データ保護の面で遅れているといわれているのも、悔しいですし、微力ながら、その状況を改善することに繋がると良いな、と。
5.25に迫っているので、とりあえず間に合わせで使って捨ててもらえれば十分です。
必要としている人がいると嬉しいです。