クリエイティブの改善テストを行う際に、「何をテストしようか」、と悩んでしまうことはありませんか?
こんな変更で差が出るかわからない、不安という思いから、これも直そう、あれも直そう、と。
もちろん、その気持ちは大いにわかります。
しかし、変更を多くしていくとどこが起因となったかわからなくなるのも事実です。
「ABテストって何のためにやるのでしょうか?」
こんなことを聞くと「バカにしているのか」、と怒られてしまいそうですが、ぜひ考えてみて頂きたいのです。以下のA、Bではどちらでしょうか?
A) 今のクリエイティブの成果を1.5倍、2倍にするため
B) これからクリエイティブを改善し続けるため
多くの方が、A) を考えてしまっているのではないでしょうか?
もちろん、これが正しくないと否定するつもりはありません。
しかし、Bの選択肢を示された時、「まぁ、それができればいいんだけど」と思われませんでしたか?
つまり、A = セールス的な考え方、B = マーケティング的な考え方だと申し上げたいのです。
Webマーケティングでは、状況は変わり続けます。ユーザーが飽きることもあります。
成果も一過性のものから再現性のあるもの、特定の媒体でしか出ない成果など、一言に「成果」と言っても、「条件付き成果」があることは否めません。
その中で、Aを繰り返していると、ABテストは博打のような感覚になってくるかもしれません。繰り返しますが、この手法自体は否定しません。
ただ、「売れた」→「やったー!」ではなく
「売れた」→「なぜ?」「理由は?」「発動している可能性がある条件はある?」と掘り下げていくことで、再現性を産むことができる可能性があります。
つまり、マーケティング的な考えに近づけ、売れ続けるナレッジに近づくことができるのです。
しかし、とはいえ、1% 、2%の改善を続けても不毛だ、と思われる方も多いかもしれません。しかし、小さな変更でも意外な成果を産むことは往往にしてあります。
次の、「ザ・マイクロコピー」という書籍は、その示唆を示してくれる素晴らしい本です。ぜひ、ご興味があればご一読されてください。
「Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー 」(日本語) 単行本 – 2017/8/25 山本 琢磨 (著), 仲野 佑希 (監修), 清水 令子 (その他)
*クリエイティブというと多くの方が、より目立ちやすいキャッチコピーや画像などに目が行きやすいですが、本当にユーザーの心理に寄り添い、ちょっとしたことで大きな改善がみられることを学べる書籍で、オススメです。
p25 “マイクロコピーがもたらす効果”より1つ引用させていただきます。
■検証内容
・治療院向けのウェブサービスを提供している会社での実験。
「資料を無料でダウンロード」 -> 「無料で資料をダウンロード」に変更
「Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー 」
■結果
資料請求ページの成約率が1.5倍に改善。
素晴らしい改善率ですね。たった2文字の変更で、1.5倍の成約率になったのです。
■考察
いかがでしょう。この2文字の変更をする手間を惜しんでしまいそうではありませんか?
このケースは、何よりも言葉の重さ、ワード選定の重要さを物語っている事例ですね。訴求の細部にこだわるというのは、こういうことかと学ばせてくれます。
マイクロコピーに意識を向けることは、Webサイトの細部に魂を宿すことになるかもしれません。
誰(Who)に、何(What)を、どのように(How)伝えるか、そしてその背後にある、なぜ(Why)それを伝えるのか、この辺りを徹底的に考えることで成果はまだまだ改善できる可能性があると言って良いのではないでしょうか。
なぜでしょうか。
その1つの理由としては、ユーザーは、ゼロコンマ何秒で判断しているということがあげられます。読んでいない、ただ見ているのです。
これは、初めていく街中で目を細めて視界をぼやけさせ、判断できるものを探してみると、コンビニやチェーン店の看板は、文字を読んでいないのに、その店がわかりますよね!?
これは、右脳的にビジュアルを見ることで、左脳的に論理的に解釈するよりも圧倒的にスピードが早く少ない情報で判断ができているということです。
つまり、上の事例はこの原理が少なからず働いていると思われます。
最初に飛び込んでくる文字が「無料」か「資料」か、その瞬間にユーザーの反応が決まっているということです。
こう考えると、色んなことが浮かんできませんか?「タダ!」ならどうか「今だけ無料!」は?など。
1つのワードだけでこんな成果が変わることがあるのです。
いきなりホームランを狙うのではなく、小さなテストを繰り返していって、100本目でホームランを打つくらいの覚悟で取り組むと、その過程は学習の連続です。
何しろ、負けても学べるのですから。
このような発想で、ぜひマーケティング的な、売れ続けるノウハウを得ながら改善していく方法について考えてみるのはいかがでしょうか?