マーケティングの重要ファクターになる「クリエイティブ・エクセレンス」とは?

クリエイティブは、マーケティングにおける重要役割を担う(担っている)ことは疑いようがありません。 そして、この傾向は今後10年でより強まる、と考えています。その概念を一言で表すワードとして、弊社では「クリエイティブ・エクセレンス」というワードを意識しております。

(1) 「クリエイティブ・エクセレンス」とは
「クリエイティブ・エクセレンス」は造語です。現状、正式な用語として一般的に使われている用語ではないと認識しております。このワードはご想像いただいた方も多いかもしれませんが、「オペレーショナル・エクセレンス」という言葉からインスピレーションを受け使用しています。

「オペレーショナル・エクセレンス」

(Wikipediaより)
オペレーショナル・エクセレンスは、オペレーション力、すなわち現場力が卓越し、競争上の優位性にまで高められている状態のことを指し、企業の競争力の源泉の重要な要素となる。高効率、高生産性の実現の鍵となる要素であり、過去の景気後退期においても企業の力強い回復を支えてきたことが分かっている。

つまり、オペレーショナル・エクセレンスは図にまとめると以下の通りです。

では、「クリエイティブ・エクセレンス」は、というと、この「オペレーション力」を「クリエイティブ力」に置き換えたものと考えております。

この図の通り、企業においてクリエイティブ力が「競争上の優位性」になっている状態を「クリエイティブ・エクセレンス」と定義します。

(2) なぜ、「クリエイティブ・エクセレンス」が重要になると考えるのか

< クリエイティブ = 企業(商品・サービス)の顔 > 

クリエイティブは企業にとって、最も購買者・消費者と接するコンタクト・フェイス(接点を持つ、企業の顔とも呼べる存在)と言えることは納得いただけるでしょうか?

 商品のパッケージ、Webサイトのデザイン、広告など、マーケティングにおいて、企業のUSP(ユニーク・セリング・ポイント)を明確に表す存在が「クリエイティブ」なのです。

< ニーズやウォンツが多様化し、商品の機能差が極度に小さい消費社会 >

 現代の日本社会は、モノが溢れ、情報が溢れ、人々のニーズやウォンツ(欲求)は多様化しています。一昔前は、10代の女性といったセグメントで一括りにできていたものが、現代ではどんどん難しくなっています。

 売れる商品には、提供する企業も群がり、もはや消費者としてその違いがわからないようなわずかな違いによる商品が店頭に並んでいます。例えば、私はビールが好きで好んで缶ビールを買いますが、なぜかいつも、とあるブランドの商品を買います。しかし、誰かが違うブランドのビールを買ってくれた場合も、その消費している瞬間に、ベネフィットの差はもうゼロといっても過言ではありません。

 その中で「共感」が消費者からの支持を得る1つの重要な手段であることは間違いありません。つまり、「機能」が全く同じである商品でも、売れる/売れないの差が出てしまうのです。

< インターネット広告の全盛期時代に >

 電通「日本の広告費」の2019年版が発表されました。ついにインターネット広告費がテレビメディア広告費を抜きました。

引用元: 電通「日本の広告費」の2019年版
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2020/0311-010027.html

 なぜインターネット広告が伸びた理由などは、いろんな側面から推察できますが、今回はどのような対処が必要であるか、そこに迫る脅威について、少し考えてみたいと思います。

< インターネット広告の特性と考えるべき対応 >

 まず、インターネット広告の特徴としては掲載面の多さです。あらゆるターゲット別、あらゆる種類のサイト(SNS、ニュースサイト、ブログなど)に掲載されますし、消費者と接する時間帯、地域、デバイスなどを考えると多種多様なコンタクト・フェイスを求められることになります。ここに最適なコストで、最適なクリエイティブをどう仕掛けられるか、ここの戦略性が求められます。

 また、インターネット広告は24h365日出稿でき、ほぼリアルタイムで効果を把握することが可能です。しかし、上述の通り、多種多様なクリエイティブを管理し、戦略的に仕掛けができている企業はまだまだ少ないと思われます。

< 構造的に、企業サイドに重要なナレッジがたまらなくなる仕組み >

 この状況から、日本での3大広告プラットフォームと言える、Google・Yahoo・Facebookでは機械学習を駆使して、クリエイティブの最適化配信が用意されています。

 しかし、この状況は日本の企業にとってはかなり危険な情報です。機械学習による配信は学習データを返してくれません。これはどういうことを意味するでしょうか?

 つまりは顧客にUSPを見せなければならない「企業・商品・サービスの顔」が、どのようにすれば良い顔になるか、何が悪化をさせるのか、どのターゲットに何が効くのか、そういった現代のマーケティング社会で重要なデータを、プラットフォーマーだけが握れる状態になってしまうのです。

< クリエイティブ・エクセレンスな企業が、飛び抜ける >

 ここで、この状況に歯止めをかけ「クリエイティブ」を科学して卓越させ、「クリエイティブ・エクセレンス」を体現できる企業が競合企業を圧倒する可能性が出てくると言えるのです。

 3年前に、シスコシステムズ社から、衝撃的な予測を出していました。

「3年で破壊が起こりトップ企業の4割は淘汰される」、シスコが大胆予測

https://xtech.nikkei.com/it/atcl/news/17/060201573/

 この予測からすると破壊が起こるのは今年であると読むこともできます。この割合・規模で起こるかどうか(起きているかどうか)はまだまだ不透明ですが(コロナウイルスという異なる脅威も出現していますし)、多くの企業がこれから岐路に立たされ、逆に言うとトップを取るチャンスを与えられることにな流のではないでしょうか。

< 貴社においての「クリエイティブ・エクセレンス」を考えてみませんか? >

 「クリエイティブ・エクセレンス」という表現をすると、どこかインパクトが小さいように思われる方もいるかもしれません。しかし、クリエイティブは記載した通り「企業の顔」です。つまり、ユーザー体験(ユーザーエクスペリエンス、UX)を卓越するためのキードライバーになるのです。ユーザーにおもてなしをし、選択をしてもらうための全てのアウトプットは「クリエイティブ」として存在することになるのです。

 もし、クリエイティブの定量データが溜められない、ナレッジが残らない仕組みである場合、この先、商品のデザイン・企画ですらプラットフォーマーが持つデータに勝てなくなるとしたら、相当な脅威と言えないでしょうか?

 ぜひ、この機会に「クリエイティブ・エクセレンス」について、その必要性や自社としてどう組み立てていくのか、ナレッジはどう残していくのか、考えられてみてはいかがでしょうか。

 弊社ではそのような新しい挑戦をされようとする企業様に向けて、微力ながらそのR&D(研究・開発)をお手伝いすることが可能と考えています。

 ぜひ、少しでもご興味があれば、info@effort-science.co.jp までお問い合わせください。

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