クリエイティブA/Bテストの4つの目的とは。

みなさん、広告のクリエイティブA/Bテストやってますか?

クリエイティブA/Bテストは、思ったほど簡単な取り組みではありません。
いざ、やろうとなっても、なかなかアイデアが出ないなんてこともあるでしょう。

それでも、ウンウンうなってひねり出してクリエイティブA/Bテストをする、その目的について、整理してみましょう。

クリエイティブA/Bテストの目的とは?

クリエイティブA/Bテストは何のためにやるのでしょうか。クライアント満足や上司の命令だから、というのは当然なし、です。笑

以下のような目的に分けられるのではないかと思います。

(1) コストパフォーマンス改善
(2) 集客効率の改善(ユーザー反応率の上昇)
(3) 良いクリエイティブを知る取り組み
(4) ユーザーとクリエイティブの関係を知る取り組み

順に説明していきましょう。

(1) コストパフォーマンス改善
これが一般的には唯一無二の目的として捉えられているかと思います。
一応コストが下がる仕組みをおさらいしておきましょう。

媒体が「品質」やそれに類似する概念を持っていて、それが上がると単価が下がるというのが理由です。
では、なぜ媒体がそれをできるのでしょうか。(これも一般的なテーマで恐縮ですが、おさらいまでに)

ご存知の通り、運用型広告は、というかインターネット広告は、メディアと広告プラットフォーム間でインプレッション数で配信在庫が売買されているベースがあります。

したがって、CPM(コスト・パー・ミル、1000インプレッションあたりのコスト)という単価が指標になります。

一方で、広告主にはCPC(コスト・パー・クリック、1クリックあたりのコスト)という指標で売買されることが多いです。
従って、この関係はCTR(クリック率)を持って説明されます。(図1参照。数式を覚えるのもいいですが、いつでも導き出せるように、以下の変換を理解しておくと良いでしょう。)

<図1> CPMとCPCの関係をCTRで説明する

CPMが一定(例えば200円)で取引された在庫は、CTRが高い方が仲介しているプラットフォームの収益が上がります。
だから、その広告を優遇できる(低単価で出稿してもらえる)、という構図ですね。

<図2> CPM200円の時の、CTRとCPCの関係

このように図にしてみる(図2参照)と、CTRの違いにより、大きくCPCが変わりますよね。メディアや広告プラットフォームが、CTRに重点を置く理由を改めて理解頂けたのではないでしょうか。これほど収益に直結するのです。

(2) 集客効率の改善(ユーザー反応率の上昇)
これは、結局(1)と同じという見方もできるのですが、一応切り分けて理解しておきましょう。例えば、広告主もCPMで売買した場合として、1つ変数を消してもらうと理解しやすいかもしれません。つまり、(1)がパフォーマンス/コスト、の分母を下げる目的なら、こちらは、パフォーマンスをあげる目的です。

1%の獲得率であれば、100人来てもらって1人ですが、2%なら2人獲得できることになります。集客効率が上がるのですね。

これを挙げておくと、少ないチャンスで多くのユーザーを獲得できます。

短期間でユーザーを呼び込みたい時や、接触できるユーザーの総数が決まっている場合、この集客効率が良いと、マーケティングの効果に繋がってきます。

これが2つ目の目的ですね。

(3) 良いクリエイティブを知る取り組み
クリエイティブA/Bテストをすることで、どういうフレーズ、画像、色、配置が集客効率を挙げられるかのナレッジがたまります。
つまり、(1)(2)を生み出し続けるためのナレッジ蓄積というのが3つ目の目的ですね。

ここを意識できると、クリエイティブ・サイエンスができている状態
つまり偶発的な結果から、再現可能な因子を抽出するという取り組みになります。

(4) ユーザーとクリエイティブの関係を知る取り組み
ここも意識するために敢えて分けました。
ユーザーごとに、どのクリエイティブに反応するのかわからないですよね。

例えば、女性がターゲットの場合、男性営業マンの画像を出すのと、女性営業マンの画像を出すのとで、
どちらかが好まれるかもしれません。商材に寄りますよね。

このユーザーとクリエイティブの関係を知る、ということができると、
より一歩、クリエイティブサイエンスが進むことになります。

クリエイティブA/Bテストは1次データ獲得の取り組みである

いかがでしょうか。クリエイティブA/Bテストの目的について改めて整理いただく機会になりましたでしょうか?詳しい方にとっては、新しい情報がなかったかもしれませんが、ご容赦ください。

まとめると、(1)(2)は短期的な目的、(3)(4)は長期的な目的と言えるかもしれませんね。ちなみに、(3)(4)は、1次データの獲得を行なっていること、に同義であると言えます。

「1次データ」とは、自社が自社目的のために蓄積したデータです。(以下の引用をご参照ください。)

1次データ:自社や自部門で直接収集したデータのこと
2次データ:官公庁や研究機関、他社が保有している1次データなど
3次データ:第三者によって使いやすい形に整えられたデータのこと

参考)「1次データ」「2次データ」「3次データ」それぞれの違いと役割とは?
https://data.wingarc.com/what-is-third-party-data-4408

この1次データは、非常に重要であると考えます。
なぜなら、他社のデータはあくまで一般論になりがちです。

例えば、「安い」というワードでその市場では反応が悪い、という場合、
自社にとってはそうでないこともありえます。

つまり、商品に独自性があればあるほど、2次データ、3次データは活用できなくなる可能性があります。2次データは、そのデータ解釈をする人が偏った解釈や集計をしている場合、または誤った解釈(または集計)をしている場合、再現性のないデータになってしまいます。

従って、1次データを獲得できているかどうかが、本当の意味でナレッジを蓄積できている、ということなのです。よく、データ > 情報 > ナレッジという段階で切り分けた時に、2次データ、3次データは、「情報」以上の価値は生み出しづらいのですね。

ですから、マーケティングにおいて、1次データを獲得できることは非常に価値があるのです。

例えば、ユーザーの意識調査のために、多額の費用を投じていらっしゃる方々からすれば、広告目的を果たしながら、ユーザーの反応調査をできるというのは、目からウロコという方もおられるかもしれません。

かの有名な書籍、リーンスタートアップでも、事業の有効性検証に、Google AdWords(現Google Ads)を利用して反応を調査するという手法が紹介されています。

製品を1日5ドルで改善していく

‥我々はそのための予算として1日5ドルを用意し、登場したばかりだったグーグル・アドワーズに投入した。‥マーケティング的には取るに足らない数字だが、学びという面では貴重な意味を持つ。毎日、新規顧客で製品のパフォーマンスが計測できるからだ。製品を変更するたび、その翌日に必ず新しい成績表が手に入るのも便利だった。

書籍 「リーンスタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生み出す」エリック リース (著), 井口 耕二 (翻訳), 伊藤 穣一(MITメディアラボ所長) (解説) (その他)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00F3UTIQY/

クリエイティブは、商品の一部である、と理解するなら、ある意味、クリエイティブA/Bテストの真の目的は、こちらである、と言っても過言ではないのではないでしょうか。

本日は、クリエイティブA/Bテストの目的について整理してみました。

目的のどこに重きを置くかによってテストの方法も変わりますよね。当たり前のこととして、普段あまり意識しないかもしれませんが、改めて考えてみることは重要であると言えるのではないでしょうか。

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