「小さなテストを繰り返せば、誰でもマーケティングの天才になれる」
これは、ジェイ・エイブラハム氏(2000年に米フォーブスがコンサルタントのトップ5に選出)の言葉です。
マーケティングに関わる方ならば、何となくご理解いただけるかもしれません。
ここでは、この言葉の意味をもう少し紐解いてみましょう。
まず、マーケティングは「モノやサービスを売り続ける仕組み作りや仕掛け」と設定します。
つまり、何かモノやサービスがあり、それを売ることが必要なのですが、単に近くのお客様に話しかけて売ること(=セールス)ではなく、売り続けるための「仕組み作り」であったり「仕掛け」であるということです。
さて、このマーケティングを遂行する上では多くの課題があります。まず、セールスと異なり、顧客との対面の会話ではないので、相手がどう思っているかがわかりません。
仮にその顧客がどう思っているかわかっても、同じ方法で他の人に売れ続けるかはわかりません。つまり、仕組みにはなっていかない可能性があるのです。
従って、調査をしたり、推測をすることで、どういう風に伝えようとするかを考えなければなりません。
しかし、当然、どんな天才マーケッターも、万人の心理を見通せているわけではありません。
従って、この「推測」や「推定」の精度がマーケティングの成否を分けることになります。
でも、どうやって知るのでしょう?
例えば、マス広告など対象の顧客層の集団が大きい場合には、グループインタビューや調査に多額の費用を投下してその情報を得ることができます。
ただ、これでも誰もが高確率で「推測」や「推定」の精度を上げられるわけではありませんし、何よりお金と時間がかかってしまいます。
そして、近年、インターネット広告(Web広告)が、いよいよ主流のマーケティング手法の1つになってきました。(*)
一般に言われるWeb広告の特徴としては以下のようなものでしょう。
・細かいターゲティングが設定できる
・リアルタイムに配信、停止、変更が可能
・レスポンスデータを得られる
これにより、やればやるほど成果が上がるため、どうしても「運用」を行う必要が出てきましたわけです。
例えば、「女性にはこういう表現は受ける」けど、「男性には受けない」といったことがわかり、クリエイティブを変えていくなどが可能になっているのです。
さらにWeb広告では、「女性・男性」といった部分が、恐ろしく細かく設定することが可能になっています。
例えば、「30日以内にWebサイトに1度きている人」「〇〇に興味を持っている人」という形で、無数の細分化があるのです。
では、ここでこういう人にインタビューできるでしょうか?
コンタクトを取れるか、コストが見合うか、その情報を信頼できるかなどの点を考えた時に、これらは難しい選択肢になります。
そこで有効なのがABテストです。
AのパターンとBのパターンを出した時に、反応の違いを確認し、BがよければさらにBをさらにB1とB2にして、テスト、ということができます。
こうすることでおぼろげながら、何が反応を引き出せる要素なのかが見極められるようになっているのです。
これをマーケターがどんどんナレッジとして蓄えていくと、その感覚がテストをする前に徐々にわかるようになり、
より高度なテストができるようになります。
ターゲティングとクリエイティブをセットでテストが考えられるようになります。
つまり、テストを通して「誰に、何を、どのように」伝えるかが、少しずつはっきりと習得できるようになるのです。
これが、「マーケティングの天才になれる」ということではないかと思います。
ただ、現状「小さなテスト」はそれほどコストが安くありません。もちろん、グループインタビューを実施するに比べると遥かにやすいですが、それ以上にターゲティングが細かくなった今では、まだまだ追いついていないのが現状です。
アドサイクルは、その状況を改善することを目指しております。
*具体的にはインターネット広告は、日本でも、今やテレビ広告に次ぐ広告メディアになりました。
米国では今年、テレビ広告を抜くと言われています。(参照:http://www.exchangewire.jp/2016/03/10/news-us-research/)